コイン★悪い男の純情
 「どうや、私も捨てたもんやないやろ。23歳年下のええ男やで。これやから、お見合いパーティはやめられんのや」

 麻由美は50歳の頃から、お見合いパーティに足繁く通うようになっていた。


 目的は2つ。

 1つは、パートの仕事から拾い上げてくれる頼りがいのある結婚相手を捜す事。
 2つめは、年下の素敵な男性と燃えるような恋をする事。


 その為に、麻由美はお見合いパーティが始まる前に、相手をざっと物色し、どちらにするかを決めていた。

 あの時は2つめ。


 狙いは芝生の芝、ただひとり。


 プロフィールは、1つめと2つめでは替えていた。


 若い獲物は、9000万円という餌に引っ掛かった。
 あとは、釣り上げて、料理をするだけ。


 焼くか、煮るか、刺身にするか。


 ピチピチ跳ね回る魚を、よだれを垂らしながら頂くとするか。


 (うまいやろなあ)


 麻由美は思わず生唾を、ゴクンと飲み込んだ。




< 57 / 162 >

この作品をシェア

pagetop