コイン★悪い男の純情
 土曜日の阪急三宮駅前広場は、いろんな若者がたむろしていた。

 朝から晴れ。

 2つのバンドが路上ライブを代わる代わる繰り広げている。

 純一は待ち合わせ時間の10分前から、プロ顔負けの演奏を聞いていた。


 「お待たせ」
 「今来た所です。食事は何がいいですか」
 「お任せしますわ」



 (あれっ、同じじゃないか)



 純一は麻由美の服装が、1年前のお見合いパーティの時と同じ事に気が付いた。

 紺色の地にピンクの花柄のワンピース。そして、真珠のネックレス。



 (少し変だ)


 (9000万も持っている女が、前と全く同じ服装をするものなのか。余程、おしゃれに無関心か。それともけちけち女か)



 純一の勘が黄信号を灯した。

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