コイン★悪い男の純情
 「リサさんに、少し悪かったかな」
 
 純一は、ちょっぴり後味の悪さを感じていた。

 「ええんよ。リサは、嫉妬で私を殺そうとしたんよ。あんな性悪女、辞めてせいせいしたわ」

 「僕は後味が少し悪いな」
 「芝ちゃん、凄い効き目やったけど、どんな手を使ったの」

 「それは、企業秘密だ」



 「芝ちゃんは劇薬でも、青酸カリやな」



 「そう言う薫さんも、ライバルをひと噛みで殺す、まむしやないですか」

 
「青酸カリとまむしか。毒は毒を持って制すと言うから、芝ちゃん、私と結婚するっていうのはどう?」

 「それは、遠慮さしてもらいます」
 「結婚して欲しい、と言う男は幾らでもいるのに、気に入った男は遠慮するか。世の中はままにはならんなあ」

 「栄光の座に返り咲いたのですから、もうひと花咲かすと言うのはどうですか」
 「それもそうやな」


 二人はにこやかに談笑し、そして別れた。


 


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