摩天楼Devil
二人が恋人同士だった姿を想像してみた。


お似合いだよね……
あんな綺麗な人なら、すごく大事にするもの……私なんか……


不意に、こちらへ誰かがやって来る。


「なんだ。元気じゃないか……何を叫んでんだ?近所迷惑」


「あら、篤志君。何かご用?」


彼は頭を掻いた。


「別に、何でもない」


「なんだ。元気じゃないか、って口調から予想すると、妃奈ちゃんが気になったんでしょ?」


叔母さんは楽しそう。


「違う。叔母さん、昨夜も仕事だったろ。まだ、寝てないみたいだから」


「これから、休むわよ」


彼女らのやり取りを聞きながら、私は肩を落とす。


――ほら、私のことなんか、彼は気にしたりしないもん……


「……じゃ、叔母さん。煮物おいしかった。ちゃんと、寝てね」


ドアから離れ、帰ろうとしたら、すでに彼は先を歩いてた。


階段を上って、部屋に戻るのかと思えば、下りていく。


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