摩天楼Devil
「え?」と、立ち止まって声を上げると、彼も足を止めて、振り返る。


「帰るんだろ?ほら、行くぞ」


それだけ言うと、一人で下りていってしまう。


私は足早に追った。


篤志さんは階段下で待っていて、私が来ると歩き出した。


――送ってくれるの?

急に嬉しくなって、隣に行こうと思った。


が――


「ねぇ、カッコイイよね~」


と、すれ違いざまに、露骨に篤志さんを見る二人の女性。


次に、私を見た。


「妹でしょ」


「ありえないもんね。ガキくさぁ」


隣に行くのをやめ、10歩ほど後ろを歩いた。


「……妃奈。合わせにくいだろ?おいで」


彼は止まって、こちらに手を向けた。


近付いたのに、その手を引っ込めようしない。


「え? あの……?」


何も答えはなく、手を握られ、強制的に隣を歩かされた。


『妹でしょ』『ありえないよね』


――ガキくさぁ


冷たい声が、頭の中で再現された。


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