摩天楼Devil

    ※ ※


掃除は簡単なものだった。


玄関を掃いたり、室内は掃除機をかけたり……基本的なこと。


模様替えとか、害虫駆除とか、大掛かりなことを予想してたので、拍子抜けしてた。


しかも、篤志さんまでやるから、私自身の仕事も少ない。


「篤志さん、これじゃ意味ないですよ」


玄関の掃除を終え、自ら掃除機をかける、雇い主に言った。


「は?」


「は? じゃないですよ。パシリの仕事でしょ」


そう自嘲ぎみに言うと、篤志さんは肩をすくめた。


「いや、君の叔父さんに無理を言った分、自分で綺麗にして、開け渡さないと」


と答えてから、彼はまた作業に入る。


開け渡す、って……


「もう、出るんですか?いつ……!?」


思わず、つめよってた。


「妃奈?どうした……あ、明け渡すのは、まだまだだよ」


「じゃあ、いつ?」


「なんだ?そんなに早く出て行ってほしいのか?悪いが、ドレス代は帳消しにはならないよ」

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