摩天楼Devil
熱が下がったら……

また元気になったら……


バイト再開したら、初日にちゃんと伝えようと思った。


このまま退きたくなかった。


ミヤちゃんとの間に飛び込むほど焦った自分……


「篤志さん――」


好きな人の名前を呟いたあと、ゆっくりベッドに戻った。




2日ほど経ち、回復して、バイト再開する予定だった。


しかし、「もう少し、休め」と言われ、渋々我慢してた。


叔父夫婦を訪ねても、不在が多く、合鍵を使っても会えなくなった。


連絡しても、返事は「忙しい」だった。


「試験勉強どうするの?」


勉強というより、会えない焦りが溜った頃だった。


叔父さんから、呼び出しを受けた。


篤志さんの部屋に。


「叔父さん?」


彼はいなかった。


そして、住んでた人も。


「え?」


玄関に靴がない。


ちょっと……待ってよ……


廊下を走り、洋間へ。


「……ッ……」


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