摩天楼Devil
「ふぇぇ、せっかく綺麗にできたら、見せにきたのにぃ。なんで、こんなとこにバケツ置くのぉ~!?」


「あのね、ヒナちゃん。どう見ても、避けられるし、隅に置いてるんだから。

普段から、ちゃんと足元見なさい、って言ってたでしょ」


今日は、おじさん達の自宅の方の台所を使って、何かを作ってたらしい。


おじさんが嬉しそうだった理由。


姪の彼女が作ってたのは、バレンタインのプレゼント、チョコレートケーキだった。


「ああ、たくヒナの野郎。そんなんで、お義兄さんにもあげれんのかぁ?」


「お義兄さん?」


「姉さんの夫。つまり、ヒナのお父さん。年頃の娘には珍しく、父親に手作りのケーキあげる、っていうんだから、羨ましいね」


父親との関係は悪くないらしいな。


たぶん、嫉妬だ。

会ってみたい、という興味が薄れ、逆に彼女に対して、不快感が出てきた。


が、おじさんはまるで見透かしたしたように言う。

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