摩天楼Devil
「え?」


「学校まで送ったときですよ。よかった、って泣きだしまして……篤志様が無事だったからでしょう。

次には笑顔でした。連絡くれると言ってくれた、と。よかったですね、とわたしが言いましたら、不安そうにしてましたがね」


「不安?」


「ええ、次は……」



――いつ会えるのかな?


と、呟いたらしい。


彼女の不安げな表情が思い浮かんだ。


それから、泣き顔も。

笑顔だけが出てこない。


どうしても……


俺は額を押さえた。


「この数週間。彼女、どうしてるんでしょうね」


篠山駿といるさ、とは答えなかったが、それは確実だろう。


「元気にやってるさ」


「また、ご自分で勝手に判断されるんですね。……待っている、とは考えない?」


「待ってる? なわけないだろ。知ってるだろ? 篠山駿。彼女の婚約者だ。さ、くだらない話は終わりだ。俺は休む」


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