摩天楼Devil
部屋には、ベッドとデスク、PCなど、必要な家電は用意されてた。

ベッドのシーツは、まるでホテルみたいに、ビシッと皺なく、整えられ、

いっそ中に潜りたかったが、固くて引っ張るのも一苦労なので、ただ寝転ぶだけにした。


目を閉じると、しばらくして、本当に眠気が襲ってきた。


どのくらい経ったのか、夢と現実の間にいた頃、あの家政婦の声がした。


『ち、ちょっとお待ちください!』


『何よ。私は藤堂遼の婚約者なの。篤志の義理の姉 同然なのよ!』


『いま、お休みなっておられます。木島さんにも、お静かに、と。木島さんが社に戻られて、私に彼を守る義務が――』


『守る?義務?義理の姉が彼に何かするとでも?』


『そういう意味ではございません!』


ギャアギャア、と女達の口喧嘩の声が、徐々に近づいてくる。


仕方ないので、起き上がる。


「たく、なんなんだ?騒がしい」


ドアを開けると、もう傍まで、女二人がいた。


まずは家政婦の中年女性が前に出る。


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