摩天楼Devil
「申し訳ありません。すぐに、おいとましていただきますので」


「ち、ちょっと!私を誰だと思ってるのよ!」


「あのさ、レイさん。俺、マジで疲れてて。話聞く元気もないから、明日にして」


それを聞き、家政婦がさっそく追い出そうとしたが、レイさんも負けずに前に出た。


「ああそぉ、そういう態度。じゃ、知ぃ~らない。遼が子猫拾っちゃったって言いにきたのに」


「あっそ。動物愛護団体に喜ばれ――」


レイさんが子猫と言ったら……、と思いなおす。


「子猫だと?」


「そ。子猫ちゃんがね、私が趣味でやってるネイルサロンに来たの。篠山駿に聞いたみたい。前の飼い主のこと探してるみたいよ」


「な、なんで?」


「知らないわ。運悪く来てた遼がね、あなたの居場所知ってるよ、って。

バカな子ね、私が傍にいるから、って安心したかもしれないけど、あっさり連れてかれちゃったわよ」


「なんだって、そんな……」


すでに、アイツに一度酷い目に遭わされてる。


あっさり付いて行くわけがない、と言った。

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