摩天楼Devil
「ふーん。じゃ、よほど会いたかったのね」


「は?」


「は? じゃないわよ。危ないかもしれないのに、危険かも、って予想してるかもしれないのに、そんな行動取るなんて、必死だったのね」


レイさんはちょっと呆れたような顔をした。

「理解不能だわ」と。


俺はこれ以上、彼女と会話をする気はなかった。


女達を押し退け、俺は無駄に長い、玄関までの廊下を走った。


「ちょっと、疲れてたんじゃなかったぁ?あのね、場所はね――」


と、都内のホテルの名前と、部屋の番号をレイさんが背後から叫ぶ。


お礼のつもりで、背を向けたまま、走りながら手を振った。


木島さんを呼ぼうかと思ったが、場所的に自分の足で行った方が早そうだった。


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