摩天楼Devil
「やっぱり、だめです!ちょ、ちょっと待って!」


どういうわけか、この時、足元に落としたままだったスカートにつまづき、ドシーン、と尻餅をついた。


「ひ、妃奈!?」


篤志さんが、駆け足で洋間に入り、私は尻餅ついたまま、身体を隠す。


笑われるか、バカにされると思った。


すると、「ごめん!」と、彼は背を向けた。


「あ、あの……や、やっぱり別の日が……」


そう呟くと、彼はこほっと軽く咳き込む。


「そうみたいだね。じゃあ、ワンピースの方は?」


それなら、袖があるから、ブラ紐は見えない。


「なら、ワンピで。あの、ファスナー上げてもらえれば……」


あら、それじゃ背中とブラが見られない?


「ワンピースもまた今度の方がいいみたいだね」

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