Purewhite Devil

純粋な愛

空から見る景色もきっとこれで見納め。


まさかこんなふうに自由に空を飛べる日が来るなんて思ってもいなかった。


それも小さい頃に憧れた真っ白な天使の翼。


嬉しさ半面悲しさ半面ーー。


色んなところで煙が上がり始めている。


叫び声の様なものも聞こえる。


私が天界に来なければ、こんなにグズグズしていなければ悪魔が攻めてくる事はなかった。



「私のせいーー」



私の小さな呟きは風の音に掻き消されてしまった。



“危ないッッ!!!!”



ナイフ!?


突然飛んできたナイフを上手くよけきれず、私の肩を掠めると羽に突き刺さった。


激痛が走り、私は地面に落下してしまった。


途中木がクッションになったが、それでも打ち付けられた体が痛い。


羽に刺さったナイフを引き抜こうと手をかけるが、震えて引き抜く事が出来ない。


さっきの痛みが頭を過る。


これを抜かなきゃ飛べないッッ。



「ーーッッ」



私は歯を食いしばり、覚悟を決めナイフを握る手に力を込めた。


痛みのあまり自分でも驚くほど大きな声が溢れた。


地面に投げ捨てられたナイフは赤く染まり、私の手も同様に赤く染まっていた。






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