Purewhite Devil
背中に硬い何かが当たった。


それは大きな木だった。


このままだとこれ以上後ろには下がれない。



「今度こそ殺してやるわ」



リリスの長い爪が振り下ろされたが、私はおぼつかない足取りでなんとかそれをかわした。


だけど足が絡まってその場に倒れ込んでしまった。



「いッッーー」



地面に打ち付けた掌がジンジンする。


体に力が入らない。


どうして?



“ノアッッ!!”

「ッッ!?」



ガブリエルの声がした直後、首を掴まれ背中を地面に叩きつけられた。


どんどん首がしまっていく。



「この私にこんなに手間をかけさせるなんて、本当に嫌な女」



私に馬乗りになり両手で首を締めているリリス。


彼女の赤く染まった二つの瞳はその色とは裏腹に、凍る様に冷たかった。


何だろう。


今にも殺されそうなのに、何故か笑みが零れた。



「何が可笑しいの!?」

「これで、貴女はーーほん、とッにーーあんし、んーー?」



目を見開き、眉を吊り上げたリリスは腕を振り上げた。


長く鋭い爪が光を纏い綺麗だった。





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