Purewhite Devil
リリスの叫び声と共に赤く染まる景色。


一瞬何が起こったのか分からなかった。


リリスは肩を押さえ、フラフラと立ち上がった。


リリスの押さえている肩からは血が止めどなく流れ落ちている。


腕がッッーー。


な、に?


どうなってんの!?


リリスの腕が地面に転がっている。


怖いーー怖いーー。


恐怖のあまり立ち上がれなかった。


呼吸がどんどん乱れていく。



“ノア、落ち着いて。大丈夫よ、大丈夫だから”

「でもッッ手が、リリスのッッ私?私がッッーー!?」

“違うわ。貴女ではないわ”



違う?


じゃあ誰が?


だってここには私とリリスしかいないのにーー。



『俺の許可無しに一体何をしている』



木の影から姿を現したとても威圧的で凛々しい彼、ルシファーに目を奪われた。



「酷いわッッ!!私は貴方の為を思ってこの女を始末しようとしたのにッッーー」

『頼んだ覚えはない』



リリスの言葉を遮る鋭い声。


潤んだリリスの目を見て胸が苦しくなった。


リリスの目から流れた一粒の涙。


私たちと変わらないんだ。


この人も。





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