わたしの姫君
(魔物が魔物を呼ぶって、そういうことか)
ルシアは今にも叫びだしたい気分だった。だが、それをするのは目の前の魔物を倒してからでも遅くはない。
確かに魔物は魔界で生まれた生き物だ。中には魔族顔負けの知識と身体能力を持った獣もいる。人と同じく金色を持って生まれた獣が多いこともあり、古代の魔族の姿だと言う研究者もいるほどだ。だが、魔物はただ自分たちが生き残るためだけに、他者を殺すことに疑問を抱いていない。だから魔界でも力のない者からは恐れられ、排除しなくては魔族が安心して住むことすら難しい。しかし人間たちは、魔物を魔族だと、同類だと見る者が少なくないこともルシアは知っている。気の短い乱暴者。人間を見つければ――気分しだいで殺すも生かすも、遊戯のように弄ぶのだと。
きっと、酒場のあの男も、そう考えている者の一人なのだろう。
誰が仲間なものか!
ルシアはたまった怒りをあの店主にぶつける代わりに、魔物に向かって魔術を解き放った。