甘くて切なくて、愛おしくて
「彼氏?ですか?」
「..名前なんつったっけ?えーっと..駄目だ思い出せねぇ」
「思い出せないって..教師って人の顔と名前すぐ覚えられるんだと思いました」
「それは仕事だからな。でもそれ以外の事は無理なんだよ、そんなに物覚えも良くねぇしな」
「教師がそれって大丈夫なの?」
「大丈夫なンだよ」
近付いてコツンと頭をごつかれた。
街灯の明かりが沢城さんの顔を綺麗に光を当てていて。そこから沢城さんの笑顔を見ることが出来る。
「とにかく、悪かったな。知らなかったんだよ」
フッと笑って今度は先を歩き出した。
このままじゃ、いやだ。
子供のように沢城さんのスーツを掴むと、彼が足を止めて振り返った。
「どうし..」
「彼氏、なんかいません」