甘くて切なくて、愛おしくて





「寒ぃな」


「父さん父さん!こっちだよね?」


「こら、走るな!」


俺の言葉も聞かずに走って行くユウキを追いかける。



高層ビルもない、人ごみとは無縁の田舎町。こっちは昨日相当雪が降ったらしく、都会とは比べ物にならないくらい積もっている。海も近いせいか、風も冷たく感じる。
沢山の墓地が並ぶこの場所は高台にあり、その先には海が見える。



「父さんー!あったよ~!」



ユウキが嬉しそうに指差す。っつか


「墓に指差すなよ」

「だって、久しぶりだし、ってあれ?」


何かあったらしい。首を傾げるユウキが気になり、後に続いた。着いた場所を見ると、花が供えられていた。


「おかしいよね?それにお線香も」


確かに。命日は今日だが、今まで来てもそれらが供えられてる所を見た事はない。




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