甘くて切なくて、愛おしくて
※
「寒ぃな」
「父さん父さん!こっちだよね?」
「こら、走るな!」
俺の言葉も聞かずに走って行くユウキを追いかける。
高層ビルもない、人ごみとは無縁の田舎町。こっちは昨日相当雪が降ったらしく、都会とは比べ物にならないくらい積もっている。海も近いせいか、風も冷たく感じる。
沢山の墓地が並ぶこの場所は高台にあり、その先には海が見える。
「父さんー!あったよ~!」
ユウキが嬉しそうに指差す。っつか
「墓に指差すなよ」
「だって、久しぶりだし、ってあれ?」
何かあったらしい。首を傾げるユウキが気になり、後に続いた。着いた場所を見ると、花が供えられていた。
「おかしいよね?それにお線香も」
確かに。命日は今日だが、今まで来てもそれらが供えられてる所を見た事はない。