アパートに帰ろう
「ようこそ」



出向かえたのは、さっきの男の子だった。

その後ろにいた大男が、バスタオルを私に差し出す。



「どうぞお使いください。シャワールームへご案内いたします」



中は外から見たよりも広かった。長い廊下を通りバスルームへと案内される。



「ごゆっくりどうぞ。替えの服とタオルを用意してありますのでご利用ください」



大男は静かにそう言うと去っていった。


私は急な展開に驚きながらも、3日振りの温かなシャワーを浴びた。


あたたかい。
胸が震えた、生き返る。

雨と泥に汚れた髪を身体を洗い流していく。

甘く爽やかな花の香り。


手足の感覚も徐々に復活していった。



「どうぞ、食べて」

「ありがとうございます」



シャワーを浴び着替えを済まして廊下に出ると、男の子が待っていた。

そのまま居間に通された私は目を見開く。


湯気のたつ料理がそこには並んでいた。



「さあ、どうぞ。遠慮しないで」

「……あなたは一体?」


"何者?"と聞こうとしたが、男の子の言葉がそれを阻止した。


「その話はあとで、まずは食事だ。召し上がれ」


私は緊張しながらも、ひとまず目の前の食事に集中した。
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