アパートに帰ろう
「……キレイ」

「あぁ、まあこんなもんだろ。満足か?」



部屋がすっかりキレイになったころ、既に空には月がのぼって星が輝いていた。



「組織の仕事や概要は、そのうちわかってくるから省くぜ。……まあ、大雑把に言うとすれば政府公認の犯罪組織ってとこだ」

「政府公認の……犯罪組織?」

「あぁ。まぁ、明日みんなに正式に挨拶にいこうぜ。適当に話してりゃ、ここの雰囲気はつかめるはずだ」

「はい!」



明日が楽しみだ。

今日挨拶した人たちはみんな気さくでいい人ばかりだった。


ダディ以外の大人に対して抱いていた嫌悪感が、この短時間で少し薄れた。



「じゃあ、今日はもう寝な。疲れてんだろ。おれも疲れたし」

「なんかごめんなさい。麻武さん、仕事あがりだったのに」

「あ?んなこと、気にすんな。新しい仲間は歓迎して当たり前だろ?」



おやすみ、軽く微笑んで麻武さんは去っていった。

その背中を見送り、用意されていた寝巻きに着替えて、ベッドにもぐりこむ。



疲れた身体はあっという間に夢の世界に落ちていった。


久しぶりに温かくて柔らかい睡眠だった。


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