アパートに帰ろう
あれ、さっきまでの脅えて悲鳴をあげていた男の子はどこ?


銀の髪にスミレ色の瞳、透けるように白い肌。


美少年としか言いようがないその男の子は、確かにさっきまで悲鳴をあげていた子だ。間違えない。


でも、このナイフの構え方は。素人じゃない。


この子、何者?



「すいません。あなたが急に乱入してきたもので、混乱してしまいました。助けてくれてありがとうございます」

「……は、はあ」



ナイフをしまって丁寧に、深々と頭をさげる男の子。

10才くらいに見えるその姿と振る舞いの差に、違和感を感じる。


男の子は、私をじっと見つめたあと首をかしげた。



「あなたは、旅の方ですか?」

「……まあ、そんなものです」



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