真夏の雪
高橋「昔の曲ならいけるって!



雪斗「逃げんなよ。


高橋「どっちがだ?


数年ぶりにドラムとエレアコという微妙な組み合わせでバンドが結成された。


衣装も用意していたらしい。パンクチックな…。

俺たちは衣装に着替えて、軽く打ち合わせをした。


準備も整いステージに向かう。


雪斗「行くぜ。


高橋「おお。


俺たちがステージに立つと歓声が聞こえた。

雪斗『あ~あ~…。

マイクテストをして軽く咳払いする。


雪斗『今日は来てくれてありがとう!
えっと…


少し言葉につまる。



雪斗『…めんどくせぇ!派手にいこうぜっ!


高橋のドラムが鳴り響く。

おれもそれに乗ってギターをひき…。
歌う。


雪斗『――――っ!!




鈴…聞こえているだろうか?

どうか届いてほしい…。



思いを―。


みんなは俺の曲にノッて…俺もそれに答える。


みんなが持つ鈴の大きな音に負けないように。


空高く掲げられた数々の白い鈴…。


それはまるで…










―真夏に降る


   雪のようだった―









病室の鈴も見ているだろうか…?




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