恋愛の条件
五十嵐と佐野の会話を耳にし、奈央は何だかこそばゆい気持ちで聞いていた。

手元の書類の分類に集中する振りをし、今朝のことを思い出す。


（全然すごくないのに……仕事していないと嫌なことばかり考えちゃうから書類整理してただけ）


修一と顔を合わせるのを避ける為出社時間を早めると、課長からサイバーマイクロ社とのアポの話聞いた。

たまたまそのことを先に聞いたから、やるべきことをやっただけだ。

修一は奈央の期待を裏切り、彼女がオフィスに来たときには、すでにデスクについて仕事をしていた。

大丈夫だ、と言い聞かせ、メイクも服装も完全武装で出社した奈央だったが、予期せずオフィスに修一を発見し、その防波堤は一気に崩れそうになった。

こんなことなら、ギリギリに出社したらよかった、と後悔した。

修一の視線の先は奈央をじっと捉え、それだけで奈央の身体は昨夜のことを思い出し、身体が熱くなった。


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