恋愛の条件
打ち合わせの間、奈央は始終ビジネスモードに徹底し、その頭の回転の速さに裕樹は驚きを隠せなかった。

予算変更の必要性を端的に述べ、経営企画部の課長のするどい指摘にも率なく答えた。

「いやぁ、広瀬さんはさすが海外開発に抜擢されただけあるなぁ。予算変更の件は何とかなるでしょう。海外出張費が多いのが気になりますけど、まぁ今は仕方ないか……」

「ありがとうございます。課長、これから技術チームとミーティングの準備がありますので、これで失礼します。」

「あぁ、今日は忙しいみたいですね。技術チームとのミーティングが終わったら、今の修正部分を直して山下君に届けてください」

「はい、わかりました。失礼します」

頭を下げ足早に戻ろうとする奈央を裕樹がエレベーターの前で呼びとめた。

「奈央、待って?」

「‘広瀬’さん!」

「あっ……ごめん、広瀬さん……」

「何でしょうか?」

「忘れ物。この契約書、承認印押したから」

「あら、忘れてたわ。ありがと」

奈央がエレベーターに乗ろうとした時、裕樹も一緒に乗り込んできた。


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