恋愛の条件
お酒が入りテンションが高くなる社員達の中、奈央は一人盛り上がることができずにいた。

理由は簡単だ。

視線の端に今日の主役の二人を捉え、大きくため息をつく。


(人の気も知らずに!)


奈央は自分がこんなに弱かっただろうか、と自問自答する。

3年前のあの日を教訓に自分は強くなったと思ったのに。


(完璧な広瀬さんか…全っ然完璧じゃない……)


佐野に言われたことを思い出す。

彼女の目には自分はどう映っているのだろうか?

いつも冷静で仕事のできるスマートな女?

あぁ、魅力的だとも言ってくれたか。

今の自分とは程遠い佐野の理想像に苦笑いがこみ上げてきた。

ポーカーフェイスを保てず、上司にお酒を注ぎにもいけない。

今も心が苦しくて、ここから逃げ出したくてたまらないというのに。

奈央は修一が帰ってきてから一言も言葉を交わしていなかった。

視線すら合わせていない。

部長や課長にひっぱりだこで、修一自身もそれどころじゃなかったが、今の奈央にはそれが助かった。


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