恋愛の条件
「で、どうだったの?ニューヨークは?」

居心地の悪さに聞かなくてもいいことまで聞いてしまう。

「あぁ、最高だった……」


(そりゃそうでしょうねっ!契約取れた上に美人の彼女と会って来たんでしょ!?)


「ねぇ、戻らなくていいの?あっちのデーブルすごく盛り上がっているけど?」

「何だよ、そんなに俺が傍にいるのがイヤなわけ?」

「そういうわけじゃ……」

「俺じゃなくて片桐さんの方がいいって?」

「はぁ?何言ってんの?わけわかんない」

修一は皮肉っぽい笑いを浮かべ、奈央のグラスにビールを注いだ。

「ねぇ、それ私のグラス…」

「お前どうせ飲まねぇじゃん?」

「そうだけど…」

口紅ついているし、と言う前に修一がそのグラスを口にした。


(ヤダ…こんな些細なことにドキドキする)


「奈央……」

急に修一の声のトーンが変わる。


(ドクン……)


奈央の顔に修一の綺麗な指が伸びてくる。


(ダメ……。ここにいてはダメ……)


「私、ちょっとお手洗いに……」

奈央がこの場から逃げるように立ち上ろうとすると、修一は彼女の手を掴み自分の傍へと引き寄せた。


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