恋愛の条件
「広瀬さん、この後片桐キャップとブリーフィングあるから準備しておいて?」


(え……片桐さんと?)


「は、はい……」


(あぁ、もうすでに心がくじけそう。ブリーフィング出るのヤダなぁ……)


こめかみに手をおきデスクで項垂れていると、奈央の隣の席に修一が座った。

みんながいるのに何を、と一瞬困惑した奈央だったが、至って修一はビジネスモード。

つい数分前にも彼が座っていた席。

距離も視線の高さも変わらない。

伸びてくる手までもがシンクロする。

しかし、修一の手から奈央の手に渡されたのは、一本のメモリースティックだった。

「俺、今から山内課長とミーティングだから。このメモリースティックの中のファイル、全部印刷しておいて。ブリーフィングで使うから」


(あぁ、そう、よね……動揺している自分が馬鹿みたい)


「何部づつ、ですか?」

「全員出席してもらうから、10部づつで」

「わかりました」

仕事は仕事と切り替えようとする奈央に、修一は、あと、と思い出したように続ける。

「お前、何を根拠に言ってんのかわかんねぇけど、俺、彼女なんていないからな?」

「----えっ?」

修一はそう言い残し、ミーティングルームへと入って行った。


(何?どういう、こと?彼女はいないって?サイバーマイクロ社に美人の彼女がいるんじゃないの?)


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