恋愛の条件
一時間後……


(ハァ……トロけそう……身体が動かない……)


全く自分は何をやっているのだろうか。

散々悩んでおきながら、結局修一にされるがままになっていた。


(じ、情欲に負けた……がーん。私って進歩がない……

山内課長ぉぉ!こんな私じゃチーフなんて無理ですっ!!)


「奈央?どうした?」

修一がバスタオルを腰に巻いてバスルームから出てきた。

「どうしたもこうしたも……」


(……ぅ……)


その恰好は反則だと思う。

女の風呂上りなんてすっぴんだし、眉毛はないし、顔が真っ赤だし、色気もくそもないけど、男は一瞬で水も滴るいい男になるからずるい。

しかもその男がもともと極上の男だから余計性質が悪い。


「奈央……?」

「…………」

黙りこくる奈央に修一は軽くキスを落とす。

「あぁぁ…もう私に触らないでっ」

「はぁ?何だよ急に」

「修……私、ちゃんと修と話しなきゃ……」

奈央は大きく深呼吸をし、修一と向き合った。

「あのね……」

どうしたらいいのだろう。

何から話せばいいのかわからない。

「奈央?」

修一が不可解な表情で奈央を覗きこんだ。


(……ぅ……)


この顔を見ると何を言っていいのかわからなくなる。

というか 服を着てほしい。

ついでに濡れた髪も乾かしてほしい。

色気がただ洩れで、そんな恰好で見つめられたら決心が鈍るどころかその決心も何かわからなくなる、と奈央は独りごちる。


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