恋愛の条件
6時を過ぎ、まだ修一が残業で残っていたが、昨日倒れたこともあり、奈央は山内課長に強制的に帰された。

「マンションで待っててって言われたけど、何かご飯でも作ってようかなぁ……」


(ってヤダ……もう新婚気分? 私って単純……)


そんな他愛もないことを考えながら奈央はエントランスを出た。

ふと何を思ったか、奈央はゆっくり後ろを振り返った。

大きなビル。

ここのフロアの殆どをうちの会社が占めている。

もう5年? たった5年?

考え方は色々だけど、5年間よく頑張ったと思う。

いっぱい泣いて、いっぱい怒って

そして……いっぱい笑った……


(ありがとう……って言ったら変?)


奈央が立ち止まったまま思いを巡らせていると、その背後からゆっくり近づいてくる足音に気付いた。


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