恋愛の条件
「行くんだろ?」

「はい」

「あいつは結構大変だぞ?」

「はい」

「我ままで自己中で、苦労するぞ?」

「はい」

「俺といた方が楽に幸せになれるのにな……」

「クス、そうかもしれません」

「いい顔だ……」

「えっ?」

「とびっきりの美人だって言ったんだ」

そう言った片桐の笑顔の方が数倍殺傷能力がある、と奈央は思った。

「///もう……」

「まぁ、俺を選ばなかったこと後悔すると思うけど」

「片桐さん……」

「幸せになれよ?」

「はい……」

片桐はタバコを吸い終わると、奈央を残してタクシーに乗り込んだ。

奈央はそのタクシーが交差点で曲がり、見えなくなるまで見送った。


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