恋愛の条件
居酒屋に取り残された二人。

相変わらずちびちびと飲んでいるが、奈央の酒は止まらない。

もう許容量を超えているどころか、限界マックスだろうに。

奈央はふらふらする頭をテーブルにゴンっと乗せる。

「どうしたの?もう限界でしょ?」

沙希の声が少し優しく響き、グラスが手から奪われた。

もう抵抗する気力もない。

「はぁ、いいなぁ、佐野さぁん。何だかんだ言って幸せそぉ」

「ハイハイ」

「沙希ぃ~聞いてるの?」

「聞いてるわよ。隣の芝生は何とかってヤツでしょ?」

自分もそうでしょ、と沙希は諭すが、奈央は全く聞く耳を持たない。

「ちがうもの!裕樹、佐野さんが好きでしょぉがないって感じじゃなぁい?」

「あぁ、あれね。すっごい過保護ぶり。今からお仕置きとかされるのかな?」

全く沙希はとんちんかんなことを言う。

半年離れていても、沙希は沙希だと苦笑する。

「裕樹はそんなことしないでしょ?優し~く甘やかして甘やかしてトロトロにするのよ」

「ふ~ん。つまんない。お仕置きされて喜ぶのは奈央だけか?」

「なっ……喜ばないもの!」

「いつも喜んでるじゃん?」

「……ぅ……」

喜んでいるんじゃない、抵抗できないだけだ、と反論しようにもだんだんと呂律が回らなくなる。



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