恋愛の条件
居酒屋で沙希と佐野と飲んでいたはずだ。

かなり飲んだのは覚えている。

朧げながら脳裏に蘇る記憶をたどっても、今の自分の状況がつかめない。

ふわふわする心地良いベッドに横たわっているのはわかる。それがかなり上質なことも。

そんなことを考えていると、自由のきかない身体がぎゅっと抱きしめられた。


この感覚……

この香りは………


あぁ、やっぱりこれは夢だ、と奈央は納得する。

修一はニューヨークにいるはず。

そして自分は今妹の結婚式のために日本にいる。

「結婚」という言葉にまた胸がぎゅっと掴まれたように切なくなる。


(イヤだ……夢の中ぐらい嫌なことを忘れたい)


自ら修一の身体にしがみつくと、彼の熱い肌の感触に痺れが走り抜けた。伝わってくる体温が心地いい。

夢の中のはずなのに妙にリアルな感触。

でも、そんなことはどうでもいい。

夢でもいいから、脳が見せている幻想でもいいから、修一を感じたい。



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