恋愛の条件
♪♪♪♪~
聴きなれた携帯の着信音が鳴り響く。
大好きなエリック・サティーの軽やかなメロディー。
だが、今の奈央にはその音すらも煩わしい。
ベッドの中に入ったまま、奈央は気怠さを振り払うように両手を伸ばした。
「んん……」
一生県命携帯を探すが、手に当たるのは上質なクッションの感触だけ。
奈央があたふたしていると、携帯の着信音はプツリと消えた。
何とかぼんやりする頭だけを起こし、周りを窺う。
そして眠い目を擦れば、寝ぼけている奈央にもわかる、ここがホテルの一室であることが。しかも、スウィートクラスではないだろうか?
自分はまだ夢の中にいるのだろうか?
身体を起こそうとすると、腹部に何か温かいものがのっていることに気付いた。
その腕の先を辿れば、何も身に着けていない、愛しくてやまない男の裸体が瞳に映った。
「修……」
心にジワッとこみ上げてくるものがあり、昨夜のことは夢ではなかったと悟った。
衝動的に、そっとその端正な顔に指を這わせる。
長い睫にすっと伸びた鼻梁。肌は女の奈央ですら羨むくらいキメが細かい。
うっとりとその寝顔を見つめていると、回されていた腕に力がこめられ、ぎゅっと抱きしめられた。