恋愛の条件
足早に歩くも、奈央の頭の中はかなり自己嫌悪でいっぱいだった。

今の自分は「仕事に集中できている」と思っていたからなお、落ち込んだ。


(こんな大事なこともわかってなかった。
悔しいけど修が正しい、何もいいかえせなかった……)


エレベーターの中で、コツンと頭を壁に預けると、情けない自分の顔が鏡に映る。

朝、エレベーターに乗ると身だしなみをその鏡でチェックするのが日課になっていた。

毎朝自信満々に映るそれとは程遠い、今にも泣きそうな顔をした女。

大きなミスをしたわけではない。

いや、ミスすらもしていない。


(でも呆れられた……)


奈央がエントランスを出ようとした時、バッグの中でバイブにしたままの携帯が急に鳴った。
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