恋愛の条件
誰だろう、沙希だろうか?飲みの誘いだったら嬉しい、話を聞いて欲しいと、期待に携帯を手に取る。

携帯の画面には見慣れない番号が表示されていた。

「???はい広瀬です……」

「お前携帯の番号変わってないのな?」

からかいめいた、それでいてどこか優しい声が奈央の耳朶に響く。

それは、先程のひどく冷たい響きをもった声色ではなく、奈央のよく知る深いバリトンだった。

「修?」

「なぁ、いつもの店で待ってて?」

「はぁ?」

「もうすぐで俺も終わるから」

「ちょ、ちょっと……」

「それと、この番号俺のプライベートセルフォンだから登録しとけ。くれぐれも他の社員に聞かれても教えるなよ?」

「誰も行くなんて……ちょ、修?修?」


(何様ーーーーーーっ!!!
勝手に言って勝手に切って!!)


通話の途切れた携帯を手に、呆然と立ちつくした。

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