恋愛の条件
「いったっ!ちょ……」

「お前こんなとこで何やってんの?」

「修……」

奈央の姿を見かけ、走ってきたのだろうか、修一が息を切らせて立っていた。

「ハァハァ、ったく……いつもの居酒屋で待ってろっつったろ?」

「あぁ、そうか……」

「そうか、じゃねぇよ!」

「べ、別に行くなんて言ってないでしょう?」

勝手なことを言うこの男に反論するも、どこか奈央の言葉には覇気がない。

そんな奈央の様子に、修一は掴んでいた腕の力を緩める。

「どうした?何か元気ないけど?」

「えっ?」

「奈央、何かあった?」

どうしてこの男にはわかるのだろうか?

「奈央……?」

こんな時にこんな風に優しく人の名前を呼ばなで欲しい。


(ダメ……今口開いたら絶対に泣いちゃう……)





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