黒猫にkiss
後ろに座っているあげはは完全にビビっていて震えてみなみに抱きついている
可愛い。
可愛いけどこの空気の重さ。
唯一の救いはこの車の立派さ、広さだ。
7人乗りの車は広くてこの窮屈な空気を少しだけ和らげている錯覚がする
今の私達はきっと少しでも広ければなんでも救われそうだ
前の男たちに色々話し掛けられたけど
「はぁ」とか「はい…」とかいえなかった
シカトしてやりたいのは山々だけど
特に理由もないしごたごたは避けたい。
そう思っているうちに目的地についたようだ
…結論、予想外。
普通にキレイ。
少しどんよりとした暗い色の建物だが、ものすっごい廃墟を想像していたせいか驚いた。
玄関もある。家っぽい感じではないなんか、"建物"まさにそんな感じだ
車から降ろされて
一番奥の部屋に連れて行かれた
玄関があってちゃんと靴も脱いでいる。
本当に不良なんだろうか。想像と違う。
ドアをあけるとソコは別世界のような気分だ
一気に明るくなった
モノトーンの部屋。
その一番奥の真ん中にどかっと座る男
思わず見入った
さらさらの黒髪は染めたようには見えなくて
切れ長の色素の薄い瞳
シャープな輪郭
そこにいるだけで感じる威圧感
綺麗な、人
かっこいいとか可愛いとか
そんなんじゃなくて
綺麗、だった
見た目、とかではなくその纏ったベール
薄く、水色のように輝く淡い色
ゆっくりと青い瞳が揺れるだけでドキリとした