バケバケ2
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「本物は…」
確信していた。
本物のシイがどれなのか。
そんなの少し考えればわかることだった。
私は私の体を強く抱きしめていたシイを突き放した。
「騙されない。あなたはシイじゃない!」
私は少し前に別のシイに殴られて壁際に飛ばされたシイのもとに駆け寄り、腕をとった。
「私に椅子が当たりそうになったとき、真っ先に体が動いたのはあなたとこのシイだけ。でも…本物のシイは私を抱き締める勇気なんてない!」
トキとの戦いが終わり、シイが人間になってから、シイと私の距離は少しだけ離れた気がした。
シイがあの日以来、私から距離を置いているのはなんとなくわかっていたのだ。
だからもしシイが本物ならあんなことしない。
私は隣にいるシイに向き直る。
「本物はこっち。」
すると、それまでたくさんいたシイが全て消えた。
そして、私の部屋は崩れていく。
気がつくと、私とシイは元いたにゃんだーらんどに戻っていた。