はらり、ひとひら。


そして暫くの間、子狸ゴンとの暮らしが始まった。


**************



いつも通りのテーブルだけど、一人だけ多い。


ゴンは美味しそうにマフィンを頬張っていた。


口の周りをべとべとにしても気にせずに、一心不乱に貪るゴンはなんだか可愛かった。平和だなあ。


見入っていると、お母さんから呆れた声が届いた。


「杏子、あんた呑気にしてられないでしょ!時間見て時間!」


「うわっやば」


慌ててパンを口に詰め込み、玄関まで走る。


「行ってきます!」


リビングから行ってらっしゃーいとこだまが返ってきたのを聞き、私は家から飛び出した。


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