はらり、ひとひら。
冷や水をかけられた気分。鏡に映るゴンの表情は、穏やかな笑顔だった。櫛が手から滑り落ちそうになる。
「祓い人からおいらを庇って…最期まで姉上は笑ってた」
小さな肩が小刻みに震えだす。
「だから強く生きなきゃって思ったのにッ・・・おいらは、心の底が弱虫だから。
いつまで経っても強くなれないんだ…」
とうとう、ゴンの目じりからは悲しみが散った。
「ゴン…!」
「アンズだってそうだろう!?おいらとんだ大荷物だ、迷惑ばっかりかけて…邪魔なら、初めから断ってくれてよかったんだ…」
まだ結い途中なのにゴンはばっと立ち上がった。
折角綺麗に纏め上げたこげ茶の髪が、再び肩に落ちる。