はらり、ひとひら。
「…真澄さん?」
はっとして顔を上げる。母は黙りこくった俺の顔を覗きこんだ。
いけない。考え事をしていて何も聞いていなかった。
「ご、ごめんなさい。もう一度…」
「真澄さん、お外で遊んでいらっしゃい」
「え」
一瞬理解に遅れる。どういうことだろう。
「真澄さんは、とても優秀ですね。毎日修行をなさって…だけどね、遊ぶことも子供の仕事ですよ」
遊ぶ。残念ながらすぐに頭に浮かぶ、仲のいい遊んでくれそうな友達は一人もいなかった。
「でもおれ…ぼ、僕にはその」
友達が、と言ったところできゅっと唇を結ぶと母は目じりを下げて笑った。
「大丈夫。心当たりはいくつかありますよ」
真澄さんはしっかりしているから、少し年上の子と遊んだ方が丁度いいのかもしれないですね。と母は俺の背中を押した。
・ ・ ・
動けない母に代わり使用人が車をだし、連れてこられたのは大きな神社。
「関高築神社です。おそらく境内の方に…」
そう言い終える前に、よく響く声がこだました。
「真澄だー!?」
聞いたことのある声に飛び跳ねる。あれは…確か、父上の葬儀のあと、声をかけてきた子。
箒を放り出して駆けてきて「久しぶり!」と俺の手を取った。
「今日はどうしたんだよ? 悪い大人にいじめられたのか!?」
「ち、違うよ。あ…遊びに?」
使用人にヘルプを求めると笑顔でうなずいて、「千鶴さまは若様よりお兄さんですから、しっかり面倒みてくださいますよね?」と告げた。
「あったりまえだろ! おれ、兄ちゃんだぞ」