はらり、ひとひら。
ふふんとのけ反る千鶴に連れられ、大きな屋敷にお邪魔した。
自分の家と大差ないくらい、広い作りの邸宅だった。
「スゲーだろ、迷路気分だぜ毎日」
「か、勝手に家の中動き回っていいの? おれは婆様に怒られちゃうんだけど」
「は? なんで、自分ちだろ」
…そうか。言われてみれば当たり前か。自分の家をちょっと歩いただけで叱られる方がおかしい。
「ちょっと待って、ど…どこに行くの?」
「ん~? 秘密の場所!」
いたずらっぽく笑った千鶴に少しだけ不安を覚えながらも、半ば引きずられるようにして俺はあとを着いて行った。
途中で壁がひっくり返って、もう一人黒髪の男の子が出てきたときは驚きすぎて息が止まったけど。
「ここ、忍者屋敷なの?」
「ぶはっ」
千鶴が吹き出す。もう一人の髪がもっさりした少年も笑った。千鶴とよく似たきつい目をしていたが、どことなくしっかりした感じがあった。
「ちょっと大事なものが仕舞われてるから、面白い仕掛けは多いんだけど」
「そんな忍者屋敷とかじゃないって」
息ぴったりだ…と感心しているとお目当ての場所にたどり着いたのか二人は忍び足になった。
千鶴に小声で「同じことをしろ」と言われたので従った。
「陸、鍵は」
「持ってる。いい? いくよ」
陸と呼ばれた子が扉に近づいて鍵を回すとガチャリと錠の開く音。
やった! とガッツポーズをとる二人を見ながらこの部屋には何があるんだろうと不思議に思っていると、つんざく様なブザーが鳴った。
「なっ…何!?」
「大丈夫大丈夫」
え!? と思っているうちに、千鶴はすかさず天上にあったお札を手も触れずはがし取って、陸は逆に壁にいくつか札を張って何かを唱えた。