はらり、ひとひら。
「これ、本当に…」
「うん。ちょっと信じられないけどね…」
この本に、この町の人間の未来が書かれている?
「いや。残念ながら全員のことが書いてあるわけじゃないぜ。ほとんどこれを書いた人の子どもだか孫だかのことでいっぱい、って感じ」
ところどころに宝生家と神崎、他にもいくつかの家のことが書かれているらしい。
…って待って。宝生家はおまけ程度に書き記されてる?
「これ、宝生家の先祖の誰かが書いたんじゃないの?」
ふと訊ねると二人は揃って首を振った。
「おじいちゃんが貰い受けたみたいなこと言ってたよ確か」
「なんだっけなこれ書いた人…なんとか家って」
うーんと頭を捻る千鶴と陸をしり目に、当時子どもだった自分の興味を大いにそそる、魔法のような摩訶不思議な本を読む手が止まらなかった。
「あ、そうだそうだ」
ページを追う目が止まらない。心がざわざわ騒いだ。
「思い出した。これを書いたのってたしか」
声が空気を揺らす─
「椎名 桜子」