はらり、ひとひら。
お爺さんは俺を見るとぎょっとした風に目を見開いた。
「真澄くん…み、見たんか?」
明らかに壽二さんの顔がさっと青くなった。幼心にも相当まずいことをした、ということをなんとなく感じ取って罪悪感が染み渡る。
「はい。見ました」
素直に白状するとお爺さんは「そうかぁ」と頷いた。
「その本の中身…見たことは全部、忘れるって約束します。誰にも言いません、もう二度と見ません」
「はは、真澄くんはしっかりしてんねえ」
さっきの鬼の形相が嘘のような笑顔で壽二さんは俺の頭を撫でると、部屋から出るよう促した。
予言の本を本棚の高い位置に戻しながら、壽二さんは何かを考えているようだった。
その横顔には明確な焦りが滲んでいたのだけ、やけに覚えている。
俺たちはきつく壽二さんに叱られた後、廊下掃除をさせられた。三人一緒の罰。
反省しなければならないほど大きなことをしでかしたのはわかっているけど、三人一緒で何かやる、ということが初めてだった俺は内心少し楽しんでいた。
千鶴と陸といると、不思議と心が安らぐ。
はじめて他人と一緒にいて、楽しいと思えた。