はらり、ひとひら。
俺は千鶴たちとよく遊ぶようになった。殆ど俺が神社に遊びに行く、というのが普通だったが千鶴と陸が家に来ることも度々あった。
俺が6歳の時に、千鶴たちは10歳。4つ離れていたが、ふたりは俺を実の弟のように可愛がってくれた。
妖を斬ることでしか得られなかった、昂揚感にも似た気持ちは、ふたりと一緒に居る時も得られた。
もっと温かくてきらきらした、大事にしたいと思えるそんな気持ちが。
「奥様、最近の若様は学校が楽しいと話してくださいますよ。お友達が出来たのですかね」
「ふふ。きっと元気な兄たちに囲まれて育って…男の子らしさを取り戻したんでしょう」
人との距離感。
ずっと遠いのは皆の方だと思っていた。
自分が先をいって、後ろの方で楽しげに笑う子どもたち。
でもちがった。後れを取っていたのは自分の方だ。
…怖かった。今更できあがった輪に入るのが。化け物扱いされたらどうしよう、と。
でも思っていたより周りはすんなり受け入れてくれて。
『一緒に遊ぼうぜ!』
多分、千鶴と陸がいなければ、今の俺はいない。それくらいあの二人には感謝している。兄のような彼らを見て育ち、そして多くを学んだ。
人との距離感はもちろん、イタズラをした時のうまい躱し方(これは陸兄さんの方がうまい)、足が速くなるコツ、簡単な結界の張り方、壊し方、弓矢の使い方、虫の掴まえ方、食べれるものとそうじゃない木の実の見分け方─
自分が年相応さを取り戻すのと比例しながら、月日は流れた。