はらり、ひとひら。


─わからなかった。

本心は、本人のみぞ知る。俺の知り得ることじゃない。


婆様は俺の顔をみて、「ごめんなさい」となぜか謝った。なぜ謝ったのかはわからない。そして、更に不可解なことがあった。突然すぎて俺は固まる。

いつもは絶対に人前で泣いたりしない─父の葬儀のときすらしゃんとしていた祖母が、泣いていたことも理解不能だった。


「貴方たちにすべてを背負わせてしまう」


─この言葉の意味すらも。



・ ・ ・


少し長い昔話を終え、息をついてお茶を飲んだ。話疲れて喉がカラカラだ。


「どう? あまり面白いものじゃなかったと思うけど」

「いやあ、主も相当苦労して来たんだねぇ…よく道踏み外さないよ」


初めて聞いたことがありすぎたのか、灯雅は感心したように頷いていた。


「伯母とは相変わらずだろう?」

「うん。でも極力接触を避けているし、向こうもあまり部屋から出てこないらしいんだ」

「ふうん」


ぷかっと煙管から白い煙が浮かび上がった。


「しかし気になるね。予言のなんたらってやつは何なんだい?」


そこに食いつくか。
言わないと壽二さんと約束したのにな。

…まあ、時効だろうか。
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