はらり、ひとひら。


・ ・ ・

side-?


動き出した、と思う。

いいや、駒はずっと前から出揃っていた。盤も用意済み、これはただの幕開けに過ぎない。


絶望の幕開け。終わりの始まり。 

すべてが終わる頃には、この町は暗澹とした闇に呑まれて全部がゼロに帰る。─これが正しい形であると、思う。


涼やかな音が転がった。

指先で弾いた駒には[椎名]の文字。からりと隣に寄り添った[神崎]と記されたモノともつれ合いながら倒れ、盤の上から転げ落ちてあっけなく壊れた。

残った駒はふたつ。

だけど…これはもう、必要ない。ひとつを掴んで転がすとまた、壊れた。

残っているのはただのひとつ。これだけで良い。

これが、これこそが本来の在るべき形なのだから。



初めから、こうなるべきであったのだ。


高揚感に緩む頬をそのままに、闇の向こう側にゆらめく白い髪を見つける。

童女はくすくす、笑いを漏らした。

たのしそうね、と。

「そちらも随分楽しげじゃないか」と返した言葉に返事はなく、ただ不気味な、つくりもののような笑顔で割れた駒を見ていた。







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