さらば、ヒャッハー
「なにぃ、冬月」
「この襖の向こうには、何かおるん?」
「……、おらへん」
「そう。なら、僕は兄さんの方を信じますわ。そないな性悪の言葉なんか信じるに値せん。1ミリたりとも、1パーセントも。僕の全ては兄さんや。兄さんだけを信じますえ」
理屈上ならば、冬月の考え方で“想定呪術”の公式が崩れる。
あれは本人が思ってこその思い込みだ。先ほどは冬月がかかってしまったにしろ――仮にもの話、あの場で秋月が、『右腕はついている』と言えば、冬月はそれを信じて打破できただろうか。
腕が飛んでしまったとの思い込みは、そこから意識を余所に持っていかなければ消えないものの、最初から飛んでないと認識してしまった時、果たして冬月の右腕――頭は何を視るのか。