さらば、ヒャッハー


伝承によれば、河童は人間を川に引きずり込み、尻小玉と呼ばれるものを抜き出すとあるが――こうも直球にくれと懇願するものなのか。


「くれ、くれ」


しつこい。


「くれ、くれ」


かなりしつこい。


「くれ、くれ……ケチくそ、くれ」


そして失礼な。


子供にせがまれる図にしろ、せがまれる物を与えるわけにもいかないし、秋月には退治屋たる自分たちによくもまあ頼めたものだと思った。


他の妖怪が身を隠しているのに関わらず、たまたま居合わせたにしろ、自分から近づくとは。妖怪切りで名高い童子切安綱と蜘蛛切り前にしても物怖じしないなんて大物か、はたまた馬鹿か。


「くれ、くれ」


見た目からして後者。まだ幼いからこそ、物怖じしない度胸――いや、好奇心があるようだ。


< 119 / 237 >

この作品をシェア

pagetop